新潟の家庭教師です。
今回は、お子さまを算数,数学苦手にしないためにご家庭で出来ることについてお話しします。
突然ですが、岸本裕史先生をご存知でしょうか?
「100ます計算」の生みの親で、100ますを世に広めた陰山英男先生の師にあたる方です。
その岸本先生のベストセラーで、教育界では古典と言われる「見える学力見えない学力」という著書があります。
言うまでもなく大変有名な本で、小学校低学年の保護者さまにはぜひおすすめしたい一冊です。
(リンクは貼りませんが、アマゾンで文庫600円弱です)
この中で、算数の苦手な子には3つのパターンがあると述べられています。
1数量感覚がついていない子
2何が問われているか読み取れない子
3計算力の頼りない子
算数が苦手な小学生が、中学に入って数学が得意になるということはまずありません!
一方で、小学校の成績はそこまで悪くなくても、いずれ上の3つのパターンが悪化し、苦手になっていく生徒さんは大勢います。
中学生や高校生になってからでは取り戻すのが難しいということは、保護者の皆さまもご経験からご理解いただけるでしょう。
今回は、岸本先生の「見える学力、見えない学力」を引用しながら、数学が苦手にならないための対策を家庭教師の目線でお話ししたいと思います。
2けたまでの計算は、「絵に描いたり、物を並べたりして、直観的につかませることができ」ますが、4ケタを超える足し算引き算となるとそうはいきません。
おはじきを何百、何千と並べることはできませんよね。
1047-631 =
という計算は、もちろん具体的な数なのですが、数量感覚が弱いお子さまにとってはリアリティのない抽象的なものになってしまうようです。
だから、計算も身につけるのが難しいと指摘されています。
岸本先生は、数をおりこんだ親子の会話が数量感覚を養うと述べられています。
「この市で一番高い山は900メートルだけど、富士山はね・・・」
「この町の人口は12,000人ちょっとだが、となり町は23,000人もいる」
「今月は水道を35㎥も使っている。えっーと、35,000リットルも使ったのか」
中学校に入り数学が始まると、扱う対象はさらに抽象化します。
4ケタの数ですらイメージするのが難しいお子さまが、負の数や文字式や平方根(ルート)をイメージできるでしょうか?
高校数学では、さらにイメージが重要になります。
算数の授業だけでなく、親子の会話の中に数や形が登場していれば、自然と数量感覚が身についてくるということです。
2つ目に気をつけたいのは、問題の中で「何が書かれていて、何が問われているかが読み取れない子」にしないということです。
計算はできるが、文章題ができないというお子さんはこのタイプです。
「字面は読めるのですが、何がどうだから、何をどうするのだということが、まるっきり見当がつかないのです。
問題に書かれている情景や場面がイメージとして思い浮かべられないのです。」
中学に入ってから数学が苦手になるのは、こういったお子さんです。
手順や操作としてのみ算数をとらえてしまい、概念や論理が身についていません。
また岸本先生は、
「これらの子は、端的に言って、読書嫌いの本読まずで大きくなってきた子です」
と述べられています。
これもイメージと関係します。
テレビやゲーム,スマホなど、ヴィジュアルの刺激を小さいうちから受けすぎると、想像する力と意志が育ちません!
読書習慣のあるお子さんは、論理的な判断や想像力が自然に身についていて、結果として算数や数学に活きてくるのでしょう。
次回は、3つ目の計算力についてと全体のまとめについて書きます。
(続く)