・数学苦手の原因である算数が苦手な小学生には3つのパターンがある
・1つは数量感覚がない子どもで、これは親子の会話から身につく
・2つ目は文章を読み取れない子どもで、読書嫌いの子が多い
前回記事はこちらです
上越市の家庭教師です。
今回は上の記事の続きで、算数が苦手な小学生の3つ目のパターン「計算力の頼りない子」について書いていきます。
100ます計算の生みの親である岸本裕史先生は、ベストセラー「見える学力、見えない学力」の中で、「計算力は算数の力のかなめです。」とおっしゃっています。
確かに小学校の算数では、計算がしっかりできていれば悪い成績ということはありません。
しかし、中学・高校と進むにつれ、計算だけができていても点数が取れないのではないかとお考えの方も多いと思います。
もっと言えば、電卓があれば計算力など必要ないと考える方もいるのかもしれません。
岸本先生は計算力を高める2つのメリットとして、
「計算の技法を追々理解していく中で、数のしくみとか、数感覚といったものが育っていく」
「子ども自身が、まさに己の努力によって、答えがすべて正しく書けるようになり、ときには高い成績をとるようになる」
ということを挙げておられます。
前者は、単に算数の成績という意味合いだけでなく、中学・高校の数学の成績にも関係するものです。
前回記事でも述べた通り、小学校4年以降の算数・数学では具体的にとらえづらい、抽象的な数や概念を扱うことが増えていきます。
算数苦手なお子さまが、4年生からぐんと増えるのはこれが原因です。
抽象的な概念を言葉で説明しても、理解できる小学生はわずかですよね。
だからこそ、反復の計算練習の中で抽象的な数に触れる回数を増やし、数感覚・数のセンスを磨くことが必要です。
これは電卓を使っていては身につかないものです。
後者は、自分自身で「勉強が苦手だ」と思い込んでしまっている自信のないお子さまに効果があります。
計算は、一生懸命がんばれば誰でもある程度までは速く・正確にできるようになるからです。
解答欄を空欄にしてしまう挫折感もありません。
「わき目もふらず、一心に計算練習にとりくんだあとは、どの子でも満足感なり、達成感をもちます。」
このような満足感がさらなる学習意欲や集中力につながっていくということでしょう。
つまり、100ます計算に代表される計算練習は、単に計算力をつけるだけでなく、中学・高校での数学の力を支えるエッセンスが含まれるということです。
さらに、算数数学だけでなく勉強する意欲(やる気)や集中力にも良い影響があると言えるようです。
学力の基本は、「読み・書き・計算」と言われています。
これは漢字が読めるとか、九九が言えるというような表面的な意味合いだけではありません。
これら3つを基本とし、トレーニングを積み重ねることでそれ以外の学力にもつながります。
つまり、読み書き計算とは、国語や算数の基本スキルを指すだけではありません。
読書の習慣は、テレビやマンガでは得ることができない想像力を育み、論理や思考の力を鍛えます。
計算練習は、電卓やネットでは得ることができない数の感覚を刺激し、のちに抽象的な概念の理解を助けます。
また、計算力の進歩はお子さんの自信を深めます。
以上、岸本先生の名著を参考にしながら、お子さまを数学を苦手にしないために気をつけるポイントを3つ挙げてみました。
参考になれば幸いです!